抄録
我々は, EBウイルス感染症すなわち伝染性単核球症(IM)の回復期に亜急性壊死性リンパ節炎(SNL)様症状を呈した1例を経験した.組織学的確診は得られていないものの,臨床的にはSNLに一致した. SNLの病因が明らかにされていない現在,その1つとしてEBウイルスの関与が示唆される症例であるため報告する.
症例は26歳,女性.発熱,咽頭痛,全身性リンパ節腫脹,肝脾腫を認め,異型リンパ球の増多を伴ったリンパ球数の増加, EB VCA-lgMの上昇を認めたためIMと診断された. IM発症約2ヵ月後,高熱と左下顎領域の圧痛を伴うリンパ節腫脹を認めた.白血球数は減少,投薬なしで良好な経過をとり,臨床的にSNLと診断された.血清学的には, IMの回復期であった.免疫学的検査では, OKT4陽性細胞の低下, OKT8陽性細胞の増加, 4/8比の低下と, NK活性の低下がみられた.