抄録
慢性血液透析療法中の患者末梢血単核球のIFN-γに対する反応を,培養上清,細胞β2-m量を細胞活性指標として検討した.
その結果,
1) 培養上清中のspontaneousなβ2-m産生量は,健康成人と透析患者群では差異は認められなかった.
2) IFN-γ 100JRU/ml添加96時間培養では,血清β2-m値60mg/l以上の患者群でβ2-m産生量の有意な低下(p<0.05)を認めた.
3) 細胞β2-m増加率は健康成人に比較して血清β2-m 60mg/l濃度以上の群において若干の低下傾向を認めた.
4) 精製β2-mのβ2-m産生能に対する影響を精製β2-m 20, 100mg/lの濃度にて健康成人末梢血単核球を2時間前処理し検討したが,産生量の増減は認められなかった.
5) 培養上清中のIL-1β, IL-2をRIA, ELISA法にて測定したが測定感度以下であった.
以上より,透析患者群,特に血清β2-m値60mgl以上の群ではIFN-γに対する末梢血単核球の反応性低下が認められ,細胞性免疫系の低下が示唆された.