抄録
異なる表面マーカーのT細胞株(P 12, Jurkat, Hut 78), B細胞株(Wa)を抗原とする細胞酵素抗体法を用いて, SLE患者88例,健常人15例の血清中抗リンパ球抗体の力価を測定し検討した.その結果,健常人に比し, SLE患者では,用いたすべてのT, B細胞株に対する抗体が高力価の血清を多く認めた. IgMクラス抗リンパ球抗体に比し, IgGクラス抗リンパ球抗体が高力価の傾向を示した. IgGクラス抗リンパ球抗体の力価とリンパ球減少および低補体価との間に有意な相関を示した. TLCイムノステイニング法を用いた検討の結果,一部のSLE患者血清群で,リンパ球膜表面の特定の糖脂質と反応する抗体を認めた.以上より, SLE患者血清中の抗リンパ球抗体はT, B細胞表面マーカーを問わず,多様にリンパ球表面(一部糖脂質)と反応することが判明した.また, IgGクラス抗リンパ球抗体は, SLEの疾患活動性の指標として臨床的応用が期待された.