日本臨床免疫学会会誌
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糞便中にClostridium difficileを認めた5症例における腸内細菌叢と糞便中分泌型IgA濃度について
高野 健一郎大久保 総一郎堺 薫五味 崇行小野 塚豊
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1990 年 13 巻 6 号 p. 573-578

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抄録
抗生物質の投与中に,下痢を呈した症例の糞便中の腸内細菌叢および分泌型IgA濃度を検討した.糞便中にCl. difficileおよびその毒素が検出された症例では,糞便中総細菌数と分泌型IgAの低下,腸内細菌叢の破壊を認めた.かかる症例の腸内細菌叢パターンは, Bifidobacterium, Bacteroides, Eubacteriumなどの嫌気性菌の減少, Yeastの増加が認められた.また,そのうち一部の症例ではStreptococcus, Lactobacillusの増加例も認められた.なお糞便中にCl. perfringensやCl. butyricumを検出した症例では, Cl. difficileは検出されず, Cl. difficileを検出した症例のうちCl. butyrium製剤を経口投与されていた例では, Cl. difficile数がCl. butyricum製剤非投与例よりも少なく,毒素の産生も少ない傾向を認めた.
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