日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
下垂体腺腫を合併した全身性エリテマトーデスの1例
前島 悦子辻本 妃早子藤原 滋人山田 陽一湯川 進野本 拓板倉 徹
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 15 巻 4 号 p. 391-396

詳細
抄録
全身性エリテマトーデス(以下SLE)に下垂体腺腫を合併した稀な1例を報告した.症例は1987年にSLEと診断された32歳の女性で, 1990年4月に視力,視野障害を主訴として,当院へ再入院となった.頭部CTでは,下垂体に境界明瞭で均質な腫瘤が認められた. MRIでも下垂体に腫瘤を認め,その一部は蝶形骨洞にもおよんでいた.内分泌学的検査では, TSH, T3, T4,プロラクチンが軽度増加していたのみであった. 4月19日腫瘍の全摘が行なわれた.術後本例の視力,視野障害はともに著明に改善し,抗核抗体は陰性化した.女性ホルモンに限らず,なんらかの内分泌学的異常が存在することが, SLEの免疫学的異常に影響をおよぼす可能性も考えられた.下垂体腺腫を合併したSLEの症例は極めて稀であり貴重な症例と思われ,若干の文献的考察を加えて報告した.
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top