日本臨床免疫学会会誌
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過敏性肺臓炎を合併した慢性関節リウマチの1例
田中 みち中島 亜矢子諏訪 昭山田 隆鈴木 貴博稲田 進一
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2000 年 23 巻 1 号 p. 30-36

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抄録
症例は66歳,女性. 1987年に慢性関節リウマチ(RA)に罹患し加療されるも活動性関節炎が持続. 1997年9月下旬より,発熱・咳嗽に続き呼吸困難が出現.それとともに関節炎は軽快.胸部単純X線写真で両下肺野のびまん性散布性粒状陰影と著明な低酸素血症が認められ10月10日入院.胸部CTで両肺野のびまん性スリガラス様陰影,気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞数増加とCD4+/CD8+細胞比の低下,経気管支肺生検で著明な胞隔炎を認めた.肺病変の原因は確診に至らなかった.呼吸器症状の改善とともに関節炎は再燃したが, 11月30日退院.帰宅8時間後に発熱し,咳嗽・呼吸困難もきたし, 12月5日に再入院.血清学的検査で原因抗原を特定できなかったが,臨床症状,経過,諸検査の所見から,過敏性肺臓炎(HP)と診断した. RAとHPの合併の報告はなく, HP発症とともにRAの関節炎が軽快するという経過をとった興味ある1例と考え報告する.
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