日本臨床免疫学会会誌
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リンパ腫様の全身リンパ節と涙腺・唾液腺腫脹を呈し,ステロイドが奏効した男性シェーグレン症候群の1例
山本 元久高橋 裕樹水越 常徳村上 理絵子得能 徹也牧口 祐介今井 浩三
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2000 年 23 巻 1 号 p. 22-29

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抄録
症例は68歳,男性.口渇.顎下部腫脹を主訴に当院耳鼻科を受診,抗SS-A・SS-B抗体は陰性であったが,小唾液腺生検の結果からSjögren症候群(SS)と診断された.
さらに高ガンマグロブリン血症(IgG 7940mg/l),低補体血症を指摘され当科入院となった.入院時涙腺・唾液腺腫脹に加え,頚部・縦隔・腹腔内リンパ節腫脹も指摘され, SSに合併したリンパ増殖性疾患が疑われた.涙腺・頚部リンパ節生検上,モノクローナルなリンパ球の増殖はみられずリンパ系腫瘍は否定された.ステロイド投与にて,涙腺・唾液腺・リンパ節腫脹は速やかに縮小し,涙液・唾液分泌の回復,高ガンマグロブリン血症・低補体血症の正常化をみた.本症例はSSとしては比較的稀な高齢男性であること,抗SS-A・SS-B抗体が陰性なこと,乾燥症状がステロイドに反応性で可逆性であったことが特徴的であり,定型的なSSとは異なった病態である可能性が示唆された.
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