日本臨床免疫学会会誌
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23 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 石黒 精
    2000 年23 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 菊地 弘敏
    2000 年23 巻1 号 p. 12-21
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    bFGFとVEGFは強力な血管新生作用を有するが,血管内皮の接着分子発現に対する作用は明らかではない.本研究では, TNF-α刺激によるヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)の接着分子発現に対するbFGFとVEGFの作用について検討した. HUVECをTNF-α刺激下にbFGF, VEGFの存在・非存在下で24時間培養後,表面のVCAM-1・ICAM-1・E-selectinの発現と培養上清中の可溶性VCAM-1の産生を解析した. bFGFは, TNF-αで誘導されるVCAM-1発現および可溶性VCAM-1産生を抑制したが, VEGFはこのような抑制作用を示さなかった. bFGFはICAM-1やE-selectinの発現は抑制しなかった.以上の結果は, bFGFとVEGFの血管内皮の接着分子発現に及ぼす影響は異なることを示している.特に,炎症においてはbFGFはVCAM-1の発現の抑制を介して白血球の血管内皮への接着を防ぎ,血管増殖の効率を高めている可能性が示唆された.
  • 山本 元久, 高橋 裕樹, 水越 常徳, 村上 理絵子, 得能 徹也, 牧口 祐介, 今井 浩三
    2000 年23 巻1 号 p. 22-29
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.口渇.顎下部腫脹を主訴に当院耳鼻科を受診,抗SS-A・SS-B抗体は陰性であったが,小唾液腺生検の結果からSjögren症候群(SS)と診断された.
    さらに高ガンマグロブリン血症(IgG 7940mg/l),低補体血症を指摘され当科入院となった.入院時涙腺・唾液腺腫脹に加え,頚部・縦隔・腹腔内リンパ節腫脹も指摘され, SSに合併したリンパ増殖性疾患が疑われた.涙腺・頚部リンパ節生検上,モノクローナルなリンパ球の増殖はみられずリンパ系腫瘍は否定された.ステロイド投与にて,涙腺・唾液腺・リンパ節腫脹は速やかに縮小し,涙液・唾液分泌の回復,高ガンマグロブリン血症・低補体血症の正常化をみた.本症例はSSとしては比較的稀な高齢男性であること,抗SS-A・SS-B抗体が陰性なこと,乾燥症状がステロイドに反応性で可逆性であったことが特徴的であり,定型的なSSとは異なった病態である可能性が示唆された.
  • 田中 みち, 中島 亜矢子, 諏訪 昭, 山田 隆, 鈴木 貴博, 稲田 進一
    2000 年23 巻1 号 p. 30-36
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性. 1987年に慢性関節リウマチ(RA)に罹患し加療されるも活動性関節炎が持続. 1997年9月下旬より,発熱・咳嗽に続き呼吸困難が出現.それとともに関節炎は軽快.胸部単純X線写真で両下肺野のびまん性散布性粒状陰影と著明な低酸素血症が認められ10月10日入院.胸部CTで両肺野のびまん性スリガラス様陰影,気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞数増加とCD4+/CD8+細胞比の低下,経気管支肺生検で著明な胞隔炎を認めた.肺病変の原因は確診に至らなかった.呼吸器症状の改善とともに関節炎は再燃したが, 11月30日退院.帰宅8時間後に発熱し,咳嗽・呼吸困難もきたし, 12月5日に再入院.血清学的検査で原因抗原を特定できなかったが,臨床症状,経過,諸検査の所見から,過敏性肺臓炎(HP)と診断した. RAとHPの合併の報告はなく, HP発症とともにRAの関節炎が軽快するという経過をとった興味ある1例と考え報告する.
  • 池田 圭吾, 松下 雅和, 安藤 聡一郎, 関川 巌, 飯田 昇, 橋本 博史
    2000 年23 巻1 号 p. 37-42
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は, 39歳女性,低血糖による意識混濁発作にて当院内科に入院.その原因精査の結果,下垂体機能低下症と原発性甲状腺機能低下症があり,また,頭部画像検査にて下垂体のempty sellaを認めた.同時に,抗リン脂質抗体陽性で血小板数減少もあり,抗リン脂質抗体症候群と考えられた.既往歴より,本例はSheehan症候群の可能性が高く,抗リン脂質抗体症候群と内分泌疾患の関連性について示唆に富む症例と思われ報告した.
  • 中山田 真吾, 田中 良哉, 斎藤 和義, 大田 俊行, 江藤 澄哉
    2000 年23 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は, 66歳の非血友病男性.突然口腔内から頚部・前胸部を占有する巨大血腫とそれに伴う著明な呼吸困難が出現し,当科に入院した.血腫により気管は完全に圧排され,気管内挿管による気道確保を要した.活性化部分トロンボプラスチン時間の著明延長,凝固第VIII因子活性1%以下,第VIII因子インヒビター60 Bethesda unit/mlより,後天性第VIII因子欠乏症と診断した.第IX因子製剤,活性型第IX因子製剤によるバイパス療法,プレドニゾロン60mg/日の投与,血漿交換の併用療法により,血腫の拡大は阻止された.しかし,第VIII因子インヒビターの高値と第VIII因子活性の低下が持続したため,シクロスポリン150mg/日を追加併用した.その結果第35病日には,出血傾向の著明改善と第VIII因子インヒビターの低下を認めた.しかし,第VIII因子活性の低下は持続し,第38病日には再度出血と血腫の形成を認め,ステロイドパルス療法を施行した.それにより,血腫は消失し,第VIII因子活性の著明な改善を得た.以上,後天性第VIII因子欠乏症は,極めて稀な疾患であるが予後不良であり,初期段階での適切な診断・治療と,副腎皮質ステロイドの効果が不十分な症例におけるシクロスポリンやステロイドパルス療法の追加併用療法が重要である.
  • 福本 由紀子, 細井 創, 川北 あゆみ, 山本 茂樹, 秋岡 親司, 日比 成美, 松村 隆文, 常盤 和明, 澤田 淳
    2000 年23 巻1 号 p. 49-56
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    我々は,小児シェーグレン症候群の発症早期からMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫を合併し,胃粘膜へのヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の感染が示唆された1例を経験したので報告する.症例は13歳女子で,平成9年3月より関節痛が出現し,若年性関節リウマチとして治療されていたが改善なく,同年9月に紹介入院となった.入院時,抗SS-A抗体80.2倍,抗SS-B抗体16.1倍と高値で,小唾液腺生検でシェーグレン症候群に特徴的な導管周囲のリンパ球の浸潤を認め,同症候群と診断した.さらに腹部CT, Gaシンチなどで腹部腫瘤を認め,生検の結果,胃原発のB細胞性MALTリンパ腫と診断された.摘出した胃粘膜からはヘリコバクター・ピロリの感染が示唆された.近年,胃悪性原発MALTリンパ腫の発生の引き金としてヘリコバクター・ピロリの感染が注目されている.シェーグレン症候群に悪性リンパ腫を合併することは知られているが,本例のように小児期に合併した報告はみられず,ヘリコバクター・ピロリの感染がその発症をさらに促進した可能性があり興味深い.
  • 三森 明夫, 奈良 浩之, 金子 尚子, 城田 祐子, 武田 昭, 益山 純一, 吉尾 卓, 狩野 庄吾, 簑田 清次
    2000 年23 巻1 号 p. 57-63
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    微小血管傷害性の溶血と血小板減少を示した全身性強皮症3例(症例1, 2, 3; すべて女性)の臨床像と治療経過を報告する.症例1, 2で,腎障害と血圧上昇のない時期に血小板減少が先行し,症例3でこれらの発生の前後関係は不明だった.新鮮凍結血漿による血漿交換が,症例1, 2に有効だった.譫妄を症例1に,変動性精神症状を症例3にみた,強皮症では,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)類似病態が,強皮症腎の概念に含められているが,治療上,血漿交換の適応例を分離する意義があり,軽度の血小板減少の段階で,溶血の潜在に注目することが有用と思われた.
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