日本臨床免疫学会会誌
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T-COP-E療法および摘脾術が有効であった劇症型Epstein-Barr virus関連血球貧食症候群
塩沢 英輔川上 恵一郎松田 功中牧 剛日野 研一郎太田 秀一友安 茂
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2003 年 26 巻 2 号 p. 80-86

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抄録
16歳女性が高熱と高度の肝機能障害を主訴に来院した.骨髄検査で異常リンパ球および血球貪食像を認め,諸検査より劇症型Epstein-Barr virus (EBV)関連球貪食症候群と診断した. EBVの感染はPCR法で末梢血および骨髄の単核球からEBV-DNAを検出することによって証明した.γ-グロブリン大量療法,ステロイドパルス療法,血漿交換療法を併用したが十分な効果が得られず, T-COP-E療法施行した. 2コースのT-COP療法で肝機能障害・凝固異常は著明に改善し,全身状態も改善したが,脾腫の縮小はみられなかった.加えて化学療法終了後2~3週で再度発熱し,血清LDH, 各種サイトカインの上昇を再び認めた.第53病日に腹腔鏡下摘脾術を施行した.脾臓組織は420gで組織学的にCD8 (+), CD56 (-)の異常リンパ球の浸潤を認め,in situ hybridaizationでEBV encoded small RNAs (EBER)の存在を証明した.摘脾術直後からLDHおよびサイトカインは正常化し,発熱などの症状も消失した.摘脾術後にリンパ球増殖症は生じなかった.発症後16カ月で末梢血単核球のEBV-DNAは検出されなくなった.
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