毎年度,特定疾患治療研究事業の対象疾患である強皮症では,臨床調査個人票に症例の基本的属性および臨床検査所見の記載がなされている.我々は今回全国から集められた臨床調査個人票を用い,強皮症について基本集計を行った.
集計対象は平成11年度に医療費の公費負担を受けた強皮症患者10,956症例である.同疾患の臨床調査個人票にある記載項目について,性別,年齢などの基本的属性の集計を行い,さらに家族歴,自他覚症状,臨床検査所見,鑑別診断を集計した.また,一部の項目につきクロス表を作成し,互いの項目の関連を統計学的に検討した.
その結果,男女比1:7.3,平均年齢58,5歳(男性58.8歳,女性58.5歳), 5歳年齢階級の最多分布は60~64歳階級などの基本集計結果が得られた.自他覚症状ではレイノー現象が92.4%,皮膚硬化が94.7%,呼吸困難が29.9%,嚥下障害が32.2%にみられ,自己抗体の陽性率は抗トポイソメラーゼI抗体(抗Topo-I抗体)27.5%,抗セントロメア抗体37.7%であった.また,抗Topo-I抗体には肺線維症と統計学的に有意な関連がみられた(P<0.001).
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