日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
Online ISSN : 2433-7854
Print ISSN : 2433-7846
症例
眼鏡先セルおよび鼻パッドに含まれた紫外線吸収剤2-ethylhexyl-4-methoxycinnamateによるアレルギー性接触皮膚炎の1例
足立 厚子大塚 晴彦山野 希濱岡 大井上 友介沼田 充佐々木 和美喜久川 真記
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2019 年 2 巻 2 号 p. 310-316

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抄録

 眼鏡先セルおよび鼻パッドに一致したアレルギー性接触皮膚炎 (ACD) の57歳女性の症例を経験した。紫外線吸収剤2-ethylhexyl-4-methoxycinnamate (商品名Parsol MCX®) は, 主としてサンスクリーン剤に含まれ, 光アレルギー性接触皮膚炎 (PACD) の原因となることが多い。しかし自験例では, 眼鏡先セルおよび鼻パッドに含まれていた2-ethylhexyl-4-methoxycinnamateがACDを起こしていた。さらに同成分のパッチテストが陽性で, 光パッチテストは陰性であったこと, トランス体である同成分に実験室で紫外線を照射し, シス体とトランス体の割合が約1 : 2となったもののパッチテスト陽性所見と, 照射前のトランス体のものとのパッチテスト陽性所見が同程度の強さであったことからもPACDが否定され, ACDと診断された。これまでに同様の報告はない。紫外線吸収剤は製品劣化予防の観点から近年さまざまな製品に含まれているため, 同様の症例の増加が予想される。

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© 2019 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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