2020 年 3 巻 2 号 p. 294-298
通常の診療においては,臨床像を観察することで診断をつけていく。しかし,診断に自信がもてない場合は,トリコスコピーによって確認する。もし,臨床像から予想した診断と合わなければ,臨床像とトリコスコピー所見とを総合的に再考する。脱毛の形状パターンをまず観察する。円形の脱毛斑では円形脱毛症を,前頭部と頭頂部にパターン化した脱毛では男性型脱毛症を考え,トリコスコピー所見から確認する。帯状脱毛ではオフィアシス型円形脱毛症,frontal fibrosing alopeciaが鑑別となり,さらにびまん性脱毛ではびまん性の円形脱毛症,女性型脱毛症,休止期脱毛症の頻度が高い。これらについても各々に特徴的なトリコスコピー所見が手がかりとなる。
(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌,3(2):294-298,2020)