臨床リウマチ
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総説
関節リウマチに対する手術治療:現況と今後の展望
史 賢林橋本 淳
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2010 年 22 巻 1 号 p. 25-31

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抄録
   RAでは,四肢ほぼすべての関節および頸椎が主に障害され,各部位で各種の手術が行われる.手術を検討すべき症状としては,保存療法に抵抗する疼痛やX線上の変形の進行が主であるが,痛みだけでなく変形や可動域制限等によって日常生活動作が障害される場合も手術が検討され,各部位において具体的な障害の評価が必要である.さらに隣接関節の障害を伴うことも多く,上,下肢全体の総合的な機能評価も手術適応の基準となる.
   RAの手術においては骨や靱帯等の組織が脆弱なため術中操作に十分な注意を要する.また,しばしば著明な骨欠損を伴い,関節の不安定性や逆に拘縮を来している場合も多い.さらに隣接関節や反対側の状態も考慮して,使用インプラントも含めた術式選択の検討が必要である.なお,生物学的製剤使用下の術後感染の診断にあたって,体温や血液データの変化は顕著でないため,局所の熱感や発赤といった基本的な診察を決して怠ってはならない.
   近年薬物療法が飛躍的に進歩した結果,疾患活動性の厳密なコントロールによって関節の変形や破壊が予防され,手術がやや回避される傾向にあるが,一度破壊された関節に対しては手術による機能再建がやはり必要である.さらに比較的早期の手術治療の導入により機能障害の発生や進行を予防し,身体機能や生活の質を維持しうるであろうし,今後は関節破壊の防止や損傷した軟骨や骨の再生という新たな手術方法の出現も期待されよう.
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© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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