日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
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症例
メタクリルレジンアレルギーの1例
鎌田 友香山中 美佳加藤 敦子
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2020 年 3 巻 2 号 p. 330-336

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抄録

 59歳,女性。歯科で左奥歯に仮歯を装着した約1時間半後に左頬粘膜の腫脹が出現した。数時間後に除去したが,同日夜から37.5℃の発熱と口蓋に水疱,咽頭の腫脹,それに伴う呼吸困難感も出現した。パッチテストで仮歯,仮歯レジンの液剤,重合したレジン,2-hydroxyethyl methacrylate(2-HEMA),ethyleneglycol dimethacrylate(EGDMA),金チオ硫酸ナトリウム,重クロム酸カリウム,塩化第二水銀に陽性を示した。仮歯レジンの主剤であるmethyl methacrylate(MMA)のパッチテストは陰性であったが,液剤には2-HEMA,EGDMAと類似した構造をもつメタクリルモノマーが含まれていた。以上より仮歯のメタクリルレジンアレルギーと診断した。歯科患者のメタクリルレジンアレルギーの報告は歯科従事者に比し少なく,自験例は,わが国で探し得た限り4例目であった。軽微な症状は見逃されている可能性が高く,注意が必要である。また,メタクリルレジンアレルギーを疑う際のパッチテストは,主剤だけでなく2-HEMA,EGDMAも貼付することが重要と考えた。

(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌,3(2):330-336,2020)

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© 2020 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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