2020 年 3 巻 2 号 p. 349-354
66歳,女性。アトピー性皮膚炎の既往あり。1年半前よりヴァイオリンの練習を開始し,松脂を空気中に舞うほど多めに使用していた。3ヵ月前より左頸部に紅斑が出現し,徐々に拡大。初診時,顔面,左下顎から頸部,両鎖骨上部,上肢に紅斑を認めた。パッチテストにて,ロジン,ニッケルが+,本人使用の天然樹脂の松脂が++,紫檀は72時間後まで+?であった。松脂をカーボン製の人工樹脂に変更し,新しい弓にてヴァイオリンを再開したが,左下顎部の皮疹が残存。顎当ての紫檀を黒檀に,顎当てのニッケルを含む金属をチタンに変更し皮疹は消退した。再燃時の頸部の皮疹の分布も考慮し,ロジン,ニッケル,紫檀によるアレルギー性接触皮膚炎と診断した。ヴァイオリンによるアレルギー性接触皮膚炎の報告は海外では多いが,わが国ではまだ少ない。ヴァイオリン演奏者におけるアレルギー性接触皮膚炎の原因と臨床像,代替品について理解を深めておくことが重要である。
(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌,3(2):349-354,2020)