日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
Online ISSN : 2433-7854
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症例
プラスチック製メガネの先セルによるアレルギー性接触皮膚炎の1例
~フレームの金属芯の腐食により生じたニッケルアレルギー~
飯島 茂子小城 一見髙山 典子沼田 充佐々木 和実
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2020 年 3 巻 2 号 p. 342-348

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抄録

 52歳女,プラスチック製メガネの先セルによるアレルギー性接触皮膚炎(ACD)の1例を報告した。患者はメガネを半年間使用した後,両耳介上部に掻痒を自覚した。初診時同部に落屑性浸潤性紅斑を認めた。先セルの削り屑のパッチテストを施行したところ陽性であったが,C.I. Solvent Orange 60などの油溶性染料はパッチテスト陰性であった。メガネフレームを分解したところ,金属芯が腐食していた。金属成分の分析を蛍光X線分析法を用いて行ったところ,金属芯および先セル樹脂内にニッケル(Ni)が主要成分として検出された。金属成分のパッチテストではNiが強陽性を示した。以上より,汗・皮脂等により金属芯が腐食し,その結果,Niが先セル樹脂内に拡散,浸透したため発症したNiアレルギーに伴うACDである,と最終診断した。

(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌,3(2):342-348,2020)

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© 2020 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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