日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
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症例
広範囲に皮疹を認めたOTC医薬品による接触皮膚炎の2例
平井 由花武井 華子笠 ゆりな伊藤 雄太大歳 晋平中田 土起丈
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2020 年 3 巻 3 号 p. 451-455

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抄録

 症例1 : 50代男性。1ヵ月前に下肢に掻痒感が出現したため液体ムヒ®S2aを外用, 2週間前には顔面, 頸部にも皮疹が拡大したため, ムヒアルファ®EXに変更したところ症状が増悪した。現症 : 顔面, 頸部に浮腫性紅斑と丘疹を認め, 四肢には丘疹が散在性に多発していた。パッチテストでムヒアルファ®EX (++) 。症例2 : 30代女性。6日前より肩こり, 背部痛に対してアンメルツ®ヨコヨコを外用していたところ, 皮疹が出現。現症 : 左側頸部および上背部に類円形の浮腫性紅斑が多発し, 脊椎両側では褐色の紅斑局面を認めた。パッチテストではアンメルツ®ヨコヨコ (++) 。症例1は接触皮膚炎症候群 (allergic contact dermatitis syndromeのstage 3A) と診断, 症例2は広範囲に皮疹を認めた接触皮膚炎と考えた。OTC薬は患者にとって簡便であるが, 記載が義務づけられている「症状の改善がみられない場合には服用を中止し, 医師, 歯科医師, または薬剤師に相談すること」の啓発が必要と考える。

(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌, 3 (3) : 451-455, 2020)

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© 2020 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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