トレーニング指導
Online ISSN : 2434-3307
Print ISSN : 2433-6742
原著研究論文
女子陸上短距離選手の上肢プレス・プル動作のパワーの特徴
仲 立貴 島 典広菅野 昌明
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2022 年 5 巻 1 号 p. 10-24

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抄録
【目的】女子陸上短距離選手の上肢のプレス・プルの筋力とパ ワーの特徴を検討し、レジスタンストレーニングのプログラムデザイ ンに必要な知見を得る。【方法】大学女子陸上短距離選手19名 を対象とし、日本学生選手権に出場した全国選手群8名と非出場 の地区選手群11名に分け分析した。上肢プレスはベンチプレス で行い、上肢プル(ベンチプル)は、ベンチに伏臥位で構えた 姿勢からバーベルがベンチ裏面に接触するまで引き上げた。そ れぞれの最大挙上重量(1RM)、および5kg単位で負荷を荷重 させた条件で平均パワーをLinear Position Transducerを用いて測 定した。【結果】プレスパワーは、25kgを除く10kg, 15kg, 20kg, 30kg, 35kgで全国選手群が地区選手群より有意に高値を示した。 プルパワーはいずれの負荷条件においても両群に有意な差は認 められなかった。いずれの1RMも両群に有意な差は認められな かった。100m走疾走タイムとプルパワー、ベンチプレスおよびベン チプルの1RMとの間には有意な相関関係が認められなかったもの の(r = 0.567, 0.452, 0.357, p = 0.06, 0.13, 0.25)、プレスパワーと の間に有意な負の相関関係が認められた(r = 0.712, p = 0.01)。 【結論】競技レベルの高い女子陸上短距離選手の上肢の特徴 は、筋力ではなくパワーの優位性であることが示された。
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© 2022 日本トレーニング指導学会
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