【目的】女子陸上短距離選手の上肢のプレス・プルの筋力とパ
ワーの特徴を検討し、レジスタンストレーニングのプログラムデザイ
ンに必要な知見を得る。【方法】大学女子陸上短距離選手19名
を対象とし、日本学生選手権に出場した全国選手群8名と非出場
の地区選手群11名に分け分析した。上肢プレスはベンチプレス
で行い、上肢プル(ベンチプル)は、ベンチに伏臥位で構えた
姿勢からバーベルがベンチ裏面に接触するまで引き上げた。そ
れぞれの最大挙上重量(1RM)、および5kg単位で負荷を荷重
させた条件で平均パワーをLinear Position Transducerを用いて測
定した。【結果】プレスパワーは、25kgを除く10kg, 15kg, 20kg,
30kg, 35kgで全国選手群が地区選手群より有意に高値を示した。
プルパワーはいずれの負荷条件においても両群に有意な差は認
められなかった。いずれの1RMも両群に有意な差は認められな
かった。100m走疾走タイムとプルパワー、ベンチプレスおよびベン
チプルの1RMとの間には有意な相関関係が認められなかったもの
の(r = 0.567, 0.452, 0.357,
p = 0.06, 0.13, 0.25)、プレスパワーと
の間に有意な負の相関関係が認められた(r = 0.712,
p = 0.01)。
【結論】競技レベルの高い女子陸上短距離選手の上肢の特徴
は、筋力ではなくパワーの優位性であることが示された。
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