抄録
今日の生物製剤、とりわけ抗体治療はRAなどの慢性炎症・自己免疫疾患ならびに癌治療に大きな変革をもたらした。しかしながら、未だに多くの慢性炎症性・自己免疫、アレルギー疾患などに新たな医薬、治療法が求められているのも事実である。本教育講演では、私達の協和発酵キリンとのアレルギー疾患ならびにヒト成人T細胞白血病リンパ腫に対するCCR4抗体の共同臨床開発と骨髄移植(Allo-HSCT)に伴うGVHDのCD4抗体による軽減とGVL/T温存による癌治療について紹介する。免疫抑制剤の進歩にも関わらずAllo-HSCTの5年生存率は、未だに50%である。これは、GVHDに伴う造血障害・免疫システム再構築遅延による感染症、新たに生着したドナー由来Tリンパ球による自己免疫応答様慢性GVHD、原疾患の再発などによる。私達は、最近マウスモデルにてGVHDに伴い造血幹細胞ニッチとしての骨芽細胞が破壊されB細胞を中心として免疫・造血障害が起こり (骨髄GVHDと命名)、CD4抗体を移植直後に投与するとGVL/T効果を損なうことなく骨髄GVHDを軽減できる事を見いだした。CD4抗体によりAllo-HSCT を安全で有効な治療法として確立する事ができれば、腎細胞癌・乳癌などの固形腫瘍、SLEなどの自己免疫疾患に対して現在よりはるかに多く実施されることが期待される。