抄録
【背景と目的】
制御性T細胞(Treg)は免疫応答を抑制することが知られており、癌の抗腫瘍免疫からの逃避機構として考えられている。われわれは肺癌患者におけるTregの発現解析を行い、細胞障害活性Tリンパ球(CTL)の誘導時におけるTregの影響について検討した。
【方法、結果】
当科にて2003年1月から2004年3月までに手術した肺癌患者80例にてFoxp3発現を細胞内FACSにて解析した。末梢血リンパ球は2.8±2.1%、所属リンパ節リンパ球は4.4±2.4%で、腫瘍浸潤リンパ球は10.4±9.5%と、腫瘍浸潤リンパ球や所属リンパ節リンパ球にてTregの高い発現を認めた。
CTL誘導時にTGF-βを添加すると、TGF-βを添加しなかった群では3 well中2 wellで腫瘍特異的なCTLの誘導を認めたが、添加した群ではいずれのwellでもCTLの誘導はできず、高いTregの存在を認めた。またTGF-βの産生が高い細胞株にてTregを除去してCTLの誘導を試みると、CTLの誘導が可能となった。
【まとめ】
Tregは所属リンパ節リンパ球や腫瘍浸潤リンパ球に多く存在し、腫瘍近傍におけるCTL誘導を抑制することで、抗腫瘍免疫の抑制に関与していることが考えられた。TregによるCTLの誘導の抑制にはTGF-βが関与しており、Tregを除去することでCTLの誘導効率が上がることが示された。