2023 年 29 巻 p. 449-454
本研究では,球磨盆地周辺の山地との境界域の迫地形を活用した流出抑制と生物多様性の保全に関する基礎知見を得るため,放棄された迫田の抽出,スタディサイトにおける氾濫時の特徴や流出抑制機能の強化策をシミュレーションにより検討した.抽出した迫地形513.02㎞²のうち98.4%に当たる504.98㎞²が耕作放棄されていた.スタディサイトに関しては5年確率降雨においてほぼ全域が冠水し,降雨規模が大きいほど浸水深の大きいエリアが拡大するが,最大流速の増加はみられなかった.また,畦畔を活用して河川に対して横断方向に連続的に畔高を1m嵩上げすることにより,ピーク流量を約2~8%低減させる効果をもたせることができる可能性を示した.これらの結果を踏まえ,流出抑制と湿性生物の生息場としての機能強化のあり方を考察した.