抄録
背景 NKG2Dは主にCD8+T細胞やNK細胞等に発現する受容体で,腫瘍,感染,自己免疫疾患等のストレス下の細胞に発現するligandを認識する.CD8+T細胞ではDAP10を介したTCR共刺激分子として,一方,NK細胞では直接刺激分子として働き,免疫応答を調節する新たな標的分子として注目されている.
目的 RA患者と健常人のCD4+およびCD8+T細胞におけるNKG2D発現様式を比較し、RAの病態におけるNKG2Dの役割を検討する.
方法 末梢血単核球(PBMC)は生物学的製剤未使用の活動性RA患者8人及び年齢/性を適合させた健常人7人から採取し,PHA添加・不添加にて37℃で3日間培養した. 2種類の抗NKG2Dモノクローナル抗体であるON72と1D11を用いて,FACSにてNKG2D,CD4,CD8,CD28の発現を解析した.
結果 RA患者の平均年齢は53.3±16.6歳,平均罹病期間は36.8±54.3カ月.EULAR基準疾患活動性は高度が5人(62.5%),中等度が3人(37.5%).Methotrexate使用は7人(87.5%)で平均8.3mg/週.1人(12.5%)は抗リウマチ薬不使用.Prednisolone使用は2人(25.0%)で平均3.5mg/日.無刺激では健常人に比べRA患者のCD4+T細胞は,1D11が認識するNKG2Dの発現強度が有意に高く (p=0.03),逆にON72が認識するNKG2Dの発現強度は低い傾向(p=0.10)を認めた.また,CD8+T細胞においては,健常人と比べRA患者ではON72認識のNKG2Dは有意に発現強度が低く,1D11では同等であった.PHA刺激培養においてはRA患者と健常人でON72と1D11が認識するNKG2Dの発現強度の有意な差は消失した.
結論 ON72と1D11は異なるepitopeを認識し,RA患者の生体内では立体構造変化等によりNKG2Dの発現様式が変化して,病態に関与している可能性が示唆された.