臨床神経生理学
Online ISSN : 2188-031X
Print ISSN : 1345-7101
ISSN-L : 1345-7101
特集「脳機能計測法を基礎から学ぶ人のために」事象関連電位
P300基礎
加賀 佳美相原 正男
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 41 巻 2 号 p. 80-85

詳細
抄録

事象関連電位P300は刺激提示後, 潜時約300 ms付近に生じる陽性波で, 刺激に対する比較, 評価, 判断, 選択的注意, 認知文脈の更新に関与しているといわれている。1965年Suttonによって発見され, オドボール課題がP300の測定法としてよく知られている。いわゆるP300は頭皮上Pzで最大振幅が記録され, 刺激の種類, 刺激間隔, 提示数, 頻度, 強度, 類似度で振幅や潜時が変化する。その発生源は大脳皮質説と皮質下説など諸説がある。性差はないという報告もあるが, 女性で振幅が大きく潜時が短いという報告が多い。その年齢変化については, 聴覚P300では年齢とともに潜時が短縮し, 15∼18歳で最短縮年齢に達し, 以後加齢とともに潜時は延長する。視覚P300では, 課題の種類に依存し, 比較的難しい文字の課題では20代後半から30代で最短潜時となる。P300の測定法, 性差, 年齢変化を中心に解説した。

著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top