臨床神経生理学
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特集「臨床に役立つ神経筋電気診断」
肘部尺骨神経障害の電気診断学
栢森 良二
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2013 年 41 巻 3 号 p. 172-179

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抄録

肘部尺骨神経障害 (ulnar neuropathy at the elbow: UNE) は手根管症候群についで頻度の高い絞扼障害である。同様に頻度の高いTh1神経根症, 手関節での尺骨管症候群との鑑別, あるいは神経根症を合併している二重挫滅症候群の診断には, 基本的な臨床所見が重要である。電気診断学はこれらの病歴や理学所見の延長線上にある。尺骨神経伝導のルーチン検査は, 健側と患側の尺骨神経を手関節, 肘下, 肘上で刺激して筋複合活動電位 (CMAP) と感覚神経活動電位 (SNAP) を導出して, これを比較することである。UNEでは患側SNAPは軸索変性の程度を反映して低振幅である。さらに肘下と肘上刺激によるCMAPの波形相違や, 肘分節間伝導遅延がある。上腕骨内上顆を挟んで4~6 cmほどの分節で, 5つの異なった主な病態がある。これを診断するために, 短分節刺激によるインチング法によって伝導遅延あるいは伝導ブロックの部位を特定する必要がある。

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© 2013 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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