臨床神経生理学
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原著
運動単位数推定と脊髄運動ニューロンの興奮性に及ぼす生理的加齢の影響
阿部 達哉大熊 彩北尾 るり子平島 富美子木村 俊紀小森 哲夫
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2020 年 48 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

痙縮などの脊髄興奮性の増大に伴って, F波出現頻度 (F-wave persistence: FP) や振幅が増加することが知られているが, F波研究における生理的加齢の脊髄興奮性変化の知見は少ない。18〜93歳の健常対象者64名を若年群, 壮年群, 中年群, 高年群の4群に分け, 運動単位数推定 (motor unit number estimation: MUNE) とF波検査を行った。運動単位数, 単一運動単位電位の平均振幅, FP, CMAPに対するF波平均振幅の比 (F%M) を比較し, 年齢と各指標との相関を単回帰分析で検討した。さらに年齢に対するFPとMUNEの関連性を重回帰分析で検討した。MUNEは高年群で低下し, FPおよびF%Mは高値であった。MUNEは年齢と負の相関を認め, FPとF%Mは年齢と正の相関を認めた。また重相関の検討にてFPとMUNEはそれぞれ年齢との間に有意な相関を認めた。以上, 脊髄興奮性に生理的加齢性が影響している可能性が確認された。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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