臨床神経生理学
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特集 「ICUAWの診断と治療 up to date」
重症疾患ミオパチーの病態メカニズム
山田 崇史
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2020 年 48 巻 3 号 p. 136-140

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抄録

医療技術の進歩による救命救急率の増大に伴い, 近年, 集中治療室 (ICU) に入室する患者数は増加の一途を辿っている。一方, ICU関連筋力低下 (ICUAW) と呼ばれる全身性の急激な筋力低下を呈するICU入室患者の数が増加し, 深刻な問題となっている。ICUAWは, 重症疾患ミオパチー (CIM) とポリニューロパチーに大別され, 敗血症, 人工呼吸管理の長期化, 不活動, ステロイド投与など, 様々な要因が関与する複雑な病態を有している。これまで, CIM患者では, 筋量の減少に加え, 単位断面積当たりの張力 (固有張力) の著しい低下が生じ, そのメカニズムには, 1) 細胞膜の興奮性低下とそれに伴う筋小胞体からのCa2+放出量低下, 2) クロスブリッジの張力産生能力の低下が関与すること, また, それらの要因として, 炎症性因子や不活動性因子により誘引される酸化ストレスが重要な役割を果たすことが示されている。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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