抄録
教室で経験した大腸癌イレウス症例21例について検討した.
大腸癌イレウスの発生頻度は,全大腸癌の13%であった.年齢分布では60歳以上に,また性別では男性に多くみられた.大腸癌イレウスの癌の占居部位については,絶対数ではS状結腸および直腸が最高を示したが,部位別発生頻度では上行結腸および横行結腸が最高を示した.臨床症状としては腹痛,嘔気・嘔吐,便通異常などが多くみられたが,血便,便柱の狭小化などは少なかった.病悩期間は右大腸癌で長く,診断根拠としては腹部単純レ腺撮影でイレウスと診断され,注腸造影でその原因が大腸癌と診断された症例が最も多かった.切除率,治癒切除率ともに76%であり,切除例の手術術式としては,一期的手術は5例,二期的手術は10例,三期的手術は1例に,行われた.術後合併症としては創感染が最も多く,その起因菌としてE. coliやPseudomonas aeruginosaが多く認められ,嫌気性培養が行われるようになった最近ではこれらに加えてBacterioidesが検出されている.予後については非切除例には5年以上生存例はなく,切除例の5生率は25%であった.癌の肉眼形態では2型,占居範囲では全周,組織型では高分化腺癌,壁深達度ではssの症例が最も多くみられ,組織学的リンパ節転位は半数以上の症例にみられた.
最後に,教室での最近の大腸癌イレウスの治療方針について簡単に述べた.