2021 年 49 巻 3 号 p. 119-123
誘発筋電図のF波を用いて, 健常者を対象に観察課題の相違による脊髄前角細胞の興奮性変化について検討した。F波は, 右小指外転筋より導出した。測定の流れは, 閉眼にて安静時のF波を1分間測定し, 4分間の休息後, パソコン画面の映像を見せながら再度F波を1分間測定した。課題は, 右小指の運動映像 (課題A), 右小指・環指・中指・示指の運動映像 (課題B), 課題Bにおいて小指以外の手全体を軽くぼかした運動映像 (課題C) とした。安静時を1とした観察時の振幅F/M比相対値を算出し課題間で比較すると, 課題Bと比べて課題A・課題Cで有意に高い値を認めた。この結果から, 課題A・課題Cでは, 当該筋が作用する小指の運動に視覚的注意が向けられていたことにより, 対応する脊髄前角細胞の興奮性は増大した可能性が示唆された。