2024 年 52 巻 1 号 p. 38-52
体性感覚誘発電位 (somatosensory evoked potential, SEP) 研究の歴史を概観し今後の課題と展望について述べる。世界初の報告はミオクロニーてんかん患者で感覚刺激後の脳波重ね書きで得られた巨大SEP反応であった。1970–80年代は大脳へ至る体性感覚伝導路の種々のレベルでの活動がSEP成分にどのように反映されるかに注目が集まり臨床応用された。ヒト初期皮質反応が3b野起源か1野と4野起源かの大論争があったが, 磁場計測により接線方向の電流発生源が確認され3b野起源説が正しく, 約2 ms遅れて1野起源の反応が重畳することが明らかになった。初期皮質反応に重畳する600 Hz高周波信号の研究が進んで, 今日では臨床応用と研究の新領域となった。3b野と1野の活動の時空間的特徴や運動・感覚皮質のβ振動との関連など今後の研究発展が期待される。