抄録
睡眠中の異常行動 (パラソムニア) の診断では, てんかんと同様に時に精神科的問題による異常行動との鑑別が重要となる。2022年に改訂された国際疾病分類第11回改訂版 (ICD-11) で複雑性PTSD (Complex Post Traumatic Stress Disorder, CPTSD) という新たな精神疾患が記載された。様々な意見はあったが, 複雑性PTSDの診断基準における心的外傷体験はPTSDと同じく極めて驚異的で恐ろしい体験に限定された。しかしながら, この複雑性PTSDの疾患概念に触発され, 持続的, 反復的な逆境小児期体験 (adverse childhood experiences, ACEs) による多彩な精神症状が認められることが発信されるようになってきた。パラソムニアの鑑別診断では, 今後, 心的外傷体験も考慮することが重要な時代になってきた。