臨床神経生理学
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特集「SEEG,判読と実践」
ネットワーク視点で考えるSEEG
どこまでわかるか, 治療にどう結びつけるか
石﨑 友崇齋藤 竜太
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2025 年 53 巻 3 号 p. 191-198

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抄録

定位的頭蓋内脳波 (SEEG) は脳深部のてんかんネットワークを解析し, 発作起始領域 (SOZ) からてんかん原性ネットワーク (EN) の推定を可能にする。本総説ではSEEGの特性や発作時脳波のアルゴリズム解析手法を紹介し, てんかんネットワークの理論に基づいたSEEGの理解を深めることを目的とする。SEEGは広範なネットワークの評価に優れるが, 空間解像度が低いため, 硬膜下電極と異なりSOZの正確な同定には制限がある。従来の目視評価によるSOZの同定は, 観察者の恣意性やバイアスの影響を受けやすく, 高周波数帯域の神経活動を十分に考慮できないという課題がある。これに対し, Epileptogenicity indexなどのアルゴリズム解析が導入されENの特性をより客観的に捉える手法が発展しつつある。さらに, 機械学習を用いたアルゴリズム解析の発展も期待されており, 今後の技術革新によりENのより精緻な推定が可能になれば, てんかん外科手術の適応や治療戦略に新たな展望をもたらすことが期待される。

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© 2025 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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