2025 年 53 巻 3 号 p. 183-190
定位的頭蓋内脳波 (stereoelectroencephalography: SEEG) を用いたてんかん術前評価を行うにあたって, “anatomo-electro-clinical correlations”の概念に基づき, 頭皮上長時間ビデオ脳波モニタリングにより発作症候と脳波変化を統合的に解析することが重要である。さらに, マルチモダリティーな非侵襲的検査所見を組み合わせることで, てんかん原性領域を含む発作関連ネットワークの作業仮説を構築する。この仮説により深部電極の留置部位が決定されるため, その精度が最終的なSEEGによるてんかん原性領域の同定の成否を左右する。SEEGによる侵襲的術前評価においても, “anatomo-electro-clinical correlations”の視点から発作時脳波を判読, 解析する。特に早期の発作症候出現時点で脳波変化を示す領域に注目し, その後の発作症候と脳波の時間的・空間的な進展を詳細に解析する。発作時脳波の解析では, 通常の脳波変化 (1–60 Hz) に加えて, 時間周波数解析により発作時超低周波 (DC電位) および発作時高周波 (high-frequency oscillations: HFOs) も合わせて評価することが有用である。