日本臨床プロテオーム研究会要旨集
第1回日本臨床プロテオーム研究会
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研究発表
ホルモン治療施行前立腺癌患者における血清タンパクの解析
*大野 芳正大堀 理秋元 信吾川村 猛西村 俊秀橘 政昭
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p. 20-

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抄録
目的】前立腺癌の増殖、進展に関わるタンパクを同定し、ホルモン治療に対する反応性との関連を検討することを目的とした。 【対象と方法】組織学的に前立腺癌と診断された15例対象とした。年齢(中央値)は74才、病期は、B4例、C9例、D2例である。治療開始前およびホルモン治療後(血清PSA値0.1ng/ml以下の時点)に採取した血清を用いてプロテオーム解析を行い候補タンパクをスクリーニングした。同定されたタンパクについて血中濃度を測定し、治療経過との関連を検討した。 【結果】治療前血清PSA値は2.7~630(中央値55.6)ng/mlで、組織診断におけるGleason sumは、7:4例、8:5例、9:6例であった。ホルモン治療前後の血清プロテオーム解析により18のタンパクが発現差異のある候補タンパクとして同定された。これらの候補タンパクうちtransferrin (Tf)、transthyretin (Tthy)、apolipoprotein A1 precursor (Apo A1)、tumor necrosis factor receptor (TNFR) について治療前後の血清濃度を測定したところ、Tf、Tthy、Apo A1ではホルモン治療後に上昇傾向を示した。Apo A1は治療前130.1±22.2mg/dlに対してホルモン治療後148.2±19.8mg/dlと有意に上昇していた (p=0.0261)。TNF-R1、-R2は治療前後でほとんど変化を認めなかった。15例中5例に治療経過中血清PSA値の上昇傾向を認めたが、これらのタンパクとの関連は明らかでなかった。 【結論】ホルモン治療開始後にApo A1が上昇することが示されたが、ホルモン治療(ホルモン不応性)との関連については今後さらなる追跡が必要であると考えられた。
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