日本臨床プロテオーム研究会要旨集
第1回日本臨床プロテオーム研究会
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研究発表
酸化傷害タンパク質検出用タグTOPの開発
*小寺 義男川島 祐介佐藤 守前田 忠計
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p. 6-

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抄録
癌,心臓病,脳卒中、糖尿病、老人性痴呆症など様々な疾病に活性酸素が関与しているといわれている。しかし、タンパク質の酸化傷害と疾病の関係はほとんど明らかにされていない。特にアルギニン残基,リジン残基が酸化傷害を受けて導かれる修飾(カルボニル化)に関しては、様々な疾病にともなう蓄積量の増加は報告されているが、酸化傷害タンパク質によって導かれる疾病のメカニズムを詳細に調べた研究はない。 2002年に我々の研究グループの大石、前田はアガロース二次元電気泳動を使ってカルボニル化されたタンパク質を網羅的に定量分析する方法を開発した。この方法を糖尿病モデルラットに応用した結果、糖尿病特異的に酸化傷害を受けたタンパク質が数多く存在していること、また、存在量は少ないが激しく酸化傷害を受けたタンパク質が存在していることがわかった(Free Radic. Biol. Med. 34: 11-22, 2003)。そこで我々は、組織ならびに体液中に含まれるカルボニル化されたタンパク質を濃縮検出して同定し、酸化傷害部位の特定を可能にする酸化傷害タンパク質検出用タグTOP (Tags for oxidized proteins)の開発を行っている。このTOPを用いて人為的に酸化傷害を与えたペプチドを精製し、定量分析することに成功した。
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