日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
Print ISSN : 2187-9907
臨床研究報告
腎移植後再発性IgA沈着症に関与する因子の検討
祖父江 理乾 政志串田 吉生中村 英祐尾崎 太郎河上 和代守時 政宏西岡 聡西島 陽子森脇 久美子原 大雅林田 有史上田 修史筧 善行河野 雅和
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2013 年 1 巻 2 号 p. 186-189

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抄録

【目的】IgA腎症は腎移植後の再発が高率であるが,検尿異常を認めない段階の再発性IgA沈着症もしばしば認める。今回われわれは再発性IgA沈着症の原因と予後を明らかにすることを目的に検討を行った。【方法】当院にて生体腎移植を施行した症例のうち,原疾患がIgA腎症と想定されるレシピエント(n=41)のうち,IgAの再沈着を認めた再沈着群(n=16)を対象とし,非再沈着群(n=25)と後ろ向きに比較検討を行った。【結果】再発性IgA沈着症は39%の症例に平均2.6年後に確認され,うち44%は検尿異常を伴う再発性IgA腎症であった。再沈着群では3年後までの移植腎機能は低値で推移した。メサンギウム増殖を伴う群では観察期間が長期であった。再発性IgA沈着症は1年後の移植腎機能が40mL/min/1.73m2以下であることと関連し(調整OR=10.2, 95%CI=1.97~52.8,P<0.01),持込みIgA沈着症やMMF血中濃度とは関連しなかった。【結語】原疾患がIgA腎症である場合,移植腎機能低値のレシピエントでは再発性IgA沈着症が認められやすい。

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