2025 年 13 巻 1 号 p. 56-60
腎移植において免疫抑制療法は進歩し,急性拒絶反応の発生率は低下したが,依然として免疫学的課題は残る。本稿では,広島大学における腎移植後の免疫抑制管理の実践を紹介する。Carboxyfluorescein Succinimidyl Ester(CFSE)を用いたリンパ球混合試験(MLR)により,ドナー特異的T細胞応答を数値化し,免疫抑制薬の個別最適化を図っている。エベロリムス併用療法では腎機能を維持しつつCMV感染を抑制し,自然免疫の活性化も示唆された。また,血液型不適合移植に対してはリツキシマブと血漿交換を組み合わせた脱感作プロトコールを実施し良好な成績を得ている。さらに,高齢者やCMV感染症例においても免疫モニタリングを用いて適切な免疫抑制調整を行い,拒絶反応と感染リスクの両立に取り組んでいる。これらの統合的戦略により,移植成績の向上と長期生着の確保を目指している。