日本臨床腎移植学会雑誌
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症例報告
当科で外科的治療を要した機能廃絶移植腎の検討
井上 裕太奥見 雅由宮下 雅亜宮本 まどか上田 崇小牧 和美玉垣 圭一浮村 理
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2025 年 13 巻 1 号 p. 61-66

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抄録

2023年4月から9月に当科へ紹介となり,外科的治療を要した機能廃絶移植腎3例について検討した。症例1は78歳男性。糖尿病性腎症による末期腎不全に対し血液透析導入,透析歴4年の後に他院で生体腎移植術が施行されたが,移植後5年で機能廃絶をきたし血液透析再導入となった。透析再導入1年後にタクロリムス徐放製剤が中止となったが,その3ヵ月後にCRP 20mg/dL台と著明な上昇を認め他院入院となり,再発性尿路感染症のためミコフェノール酸モフェチルが中止された。しかし,炎症反応は収まらず,移植腎腫大を認めGraft intolerance syndrome(GIS)と判断され,ステロイドミニパルス療法を施行された。しかし治療抵抗性であったため当科紹介となり,造影CTにて移植腎膿瘍と診断した。CTガイド下ドレナージおよび抗菌薬治療を行うも改善乏しく,移植腎摘除術を施行した。症例2は72歳女性。原疾患不明の末期腎不全に対して血液透析導入,透析歴1年の後に他院で生体腎移植術が施行されたが,移植後6年で移植腎機能廃絶し血液透析再導入となった。透析再導入後1年で免疫抑制療法は終了し,その8ヵ月後に移植腎腎盂腎炎および水腎症をきたし,当科紹介となった。腎瘻造設の上抗菌薬治療を1ヵ月施行するも改善乏しく,移植腎摘除術を施行した。症例3は62歳女性。糖尿病性腎症による末期腎不全に対し本学附属病院移植外科で先行的生体腎移植術を施行された。移植後7年でタクロリムス中止,その3ヵ月後に移植腎機能廃絶し血液透析導入となった。その4ヵ月後より炎症反応の増悪を認め,移植腎盂腎炎として抗菌薬治療を行ったが炎症反応は軽快せず,造影CTにてGISと診断された。免疫抑制薬の調整を行ったが改善せず,当科紹介され移植腎摘除術を施行した。機能廃絶移植腎のGISまたは移植腎膿瘍に対する内科的治療不応症例に対して,移植腎摘除術を含めた外科的治療を行った。

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© 一般社団法人日本臨床腎移植学会
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