2025 年 13 巻 1 号 p. 79-82
症例は67歳,女性。身長148cm。巣状分節性糸球体硬化症に対してステロイドを長期内服していた。夫(身長178cm)をドナーとした生体腎移植をX-7日に施行した。X-5日腹壁瘢痕ヘルニアを認めた。腸管の絞扼所見は認めず,前外側大腿皮弁を用いた修復術を待機的に行う方針とした。X日形成外科にて有茎前外側大腿皮弁を用いたヘルニア修復術を施行。術後は皮弁の色調をモニターしつつ,皮弁の血流を保つためギャッジアップを制限して,徐々に安静度を上げていった。術後2年経過するが皮弁の生着は問題なく,腹壁瘢痕ヘルニアの再発も認めていない。腎移植術後の前外側大腿皮弁を用いた腹壁瘢痕ヘルニアの修復の報告は限られている。前外側大腿皮弁はグラフト採取部位の大きな機能異常は生じず,異物が入らず感染のリスクが軽減できるため,腎移植の急性期の腹壁瘢痕ヘルニアの加療に有用と考える。