日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
Print ISSN : 2187-9907
原著
生体腎移植後におけるリンパ囊腫発生因子の検討
赤木 直紀大林 立樹山本 章寛名越 晶彦藤原 佑五十嵐 篤服部 悠斗柴崎 昇井上 幸治岡田 卓也清川 岳彦川喜田 睦司山﨑 俊成
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2025 年 13 巻 2 号 p. 143-149

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抄録

【目的】生体腎移植術後のリンパ囊腫発生因子について検討した。【対象と方法】2002年1月から2024年7月までに当院で施行した生体腎移植68例を後方視的に検討した。リンパ囊腫は,超音波またはCTで認められた移植腎周囲の液体貯留と定義した。リンパ囊腫の発生と患者背景,術式,周術期成績との関連を解析した。手術時期は術者の交代に基づき初期,中期,後期,直近の4期に分類した。治療介入にはドレナージ,リンパ管造影,開窓術が含まれた。【結果】リンパ囊腫の発生は16症例(23.5%)あった。発生率は初期12.5%,中期18.8%,後期12.5%,直近45%であった。Preparation時に結紮を行わず,シーリングのみを使用した症例ではリンパ囊腫の発生率が有意に高かった(結紮6/42例:14.3%,シーリング10/26例:38.5%,p=0.038)。また,有意差はなかったが2週間以内のエベロリムス(EVR)導入(p=0.08)と冷虚血時間(CIT)が長い症例(p=0.053)と手術時期が直近の症例(p=0.08)はリンパ囊腫の発生率が多い傾向があった。治療については,16例のうち8例が経過観察とされ,6例は自然消失した。残りの2例は無症候性のまま残存していた。治療介入を行った8例のうち7例に関しては軽快し,リンパ管造影まで施行した1例のみが,他疾患の治療優先度のため経過観察された。ドレナージを要した3例はすべてpreparationがシーリングのみの症例であった。【結語】Preparation時に結紮を省略する手技は,リンパ囊腫の発生率の上昇と関連していた。

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