2026 年 14 巻 1 号 p. 16-21
本邦の臓器提供および献腎移植は近年増加傾向にあり,パンデミック収束後には提供数の顕著な回復と国民の意思表示率の向上が認められている。一方で献腎移植待機期間は依然として約15年と長期であり,待機中死亡や状態悪化による登録取り消しも少なくない。さらに臓器提供増加に伴い,移植検査体制や人的資源の逼迫が顕在化している。とくに特定移植検査センターの減少とクロスマッチ検査の非効率性は深刻な問題である。これに対し,抗HLA抗体測定を基盤としたバーチャルクロスマッチの導入が検討されており,検査負担軽減と迅速な意思決定への寄与が期待される。また,レシピエント選択基準や臓器配分の在り方についても再検討が求められている。さらに,小児腎en bloc移植や地域完結型摘出体制の整備など,新たな取り組みも進んでいる。本稿ではこれらの現状と課題を整理し,持続可能で公平な移植医療体制の構築に向けた展望を論じる。