医療技術の進歩や高齢化により医療費が増えるなか,限られた医療資源をどの医療に用いるかは重要な課題である。費用効果分析は,複数の治療や政策について,かかる費用と得られる健康改善をあわせて比べる方法である。代表的な指標である増分費用効果比(incremental cost-effectiveness ratio:ICER)は,追加の健康改善を得るために必要な追加費用を示す。効果の指標には質調整生存年(quality-adjusted life year:QALY)がよく用いられ,生存期間と健康関連 QOLを同時に評価できる。本稿では,費用効果分析の基本を概説し,日本,米国,オーストラリアの腎移植領域における分析事例を紹介する。いずれも腎移植の活用拡大が費用効果的でありうることを示すが,結果の解釈には分析の前提や制度的背景の確認が必要である。