日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
Print ISSN : 2187-9907
総説
腎移植後の悪性腫瘍
―その現状と要因と対策―
岩藤 和広中島 一朗渕之上 昌平
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2014 年 2 巻 1 号 p. 44-61

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抄録

1973〜2008年に腎移植した患者のうち,移植後1年以上観察できた797例の腎移植患者の発がんを調査した。102例(12.8%)に発がんが認められ,一般人口と比較したがんの標準化罹患率(SIR)は2.37±0.43だった。移植から発がんまでの経過年数は平均13.4±8.3年で,発がん時の年齢は平均54.8±11.5歳だった。とくに皮膚,腎臓,子宮体部,卵巣,PTLDでSIR>5.0だった。推定罹患頻度順では,乳房,結腸,腎尿管,子宮体部,卵巣などが多かった。発がんの要因では,年齢や一般人口の発がん傾向などの疫学的要因が第一で,それを免疫抑制剤が修飾することで,一般人口よりもより高頻度または早期に発がんしていると考えられた。また,加齢と移植後の拒絶反応が発がんリスクを高め,rituximabとMMFの使用が発がんリスクを低下させていた。発がん後の5年生存率は74.4%で,発がん群は移植後15年頃から生存率が低下していた。発がんによるDWFGを防ぐには,腎移植後のcommon cancerに対する定期的ながん検診が重要と考えられた。

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© 一般社団法人日本臨床腎移植学会
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