2015 年 3 巻 1 号 p. 50-57
【背景】移植後の腎機能はドナー・レシピエント双方のさまざまな要因がかかわっていることが知られているが,具体的な予測式についての報告はほとんどみられないのが現状である。われわれは移植前と移植時のデータより移植後のレシピエントのCr値の推定を試みており,今回予測Cr値と実際の術後経過を併せて検討したので報告する。【方法】当科において2007年1月~2012年12月に施行した成人の生体腎移植470例のうち術後経過良好なRecipient 176例を学習症例として選出し,Symbolic Regressionを用いて術後7PODのCr値(Cr-7POD)を推定する予測式を算出した。この予測式をもとに,2013年1月~12月施行の成人の生体腎移植89例のうち術後合併症や拒絶を生じた症例を除外した82症例を未知症例としてCr-7PODの予測値を算出して実測値と比較検討を行った。【結果】予測式は,ドナーの年齢,体重,Cr値,2hrCcr値とレシピエントの年齢,性別,体重,総阻血時間,温阻血時間,腎重量を変数とする数式となった。学習症例におけるCr-7PODの|予測値-実測値|の平均は0.184±0.164mg/dLであった。また,術後の血清Crが上昇しうる臨床的な要因(拒絶や外科的合併症など)を有した7例を除外した82例の未知症例では,|予測値-実測値|の平均値は0.228±0.196(range:0.0098~1.06, median0.175)mg/dLであった。未知症例の70%において実測値は予測値以下の値であり,本予測値での予測Cr値(pCr)は実測Cr値(aCr)をやや高めに推定する傾向にあった。【結論】今回の移植後7日目の血清Cr値予測式を算出することができたが,予測値は実測値とほぼ同等かやや高めに推測する傾向があった。そのため予測値はCr-7PODのupper theasholdとなり得,術後合併症が生じない状態での基礎となる腎機能(標準Cr値)の指標にすることが可能である。Crの予測値は術後経過観察の際に拒絶反応の有無や合併症の出現の早期発見の一助となると考えられた。