2015 年 3 巻 2 号 p. 232-235
症例は40歳男性。30歳時に腎硬化症による慢性腎不全のため血液透析に導入された。65歳の母親をドナーとした血液型不適合腎移植(A to O)を希望され当科を受診された。ドナーの術前検査で,右腎動脈は2本,左腎動脈は1本,右尿管は1本,左は重複腎盂尿管(重複尿管)であった。術前のレノグラムで分腎機能に左右差を認めなかった。右腎静脈が複数本存在し,血管吻合が困難と考えられたため,左腎を採取することとした。レシピエントに対しては術前に,リツキシマブ,ミコフェノール酸モフェチル(MMF),タクロリムス(TAC)の投与と2重膜濾過血漿交換(DFPP)による減感作療法を行った。ドナーの手術は単孔式後腹膜鏡下左腎採取術を行った。ドナー腎採取後に,ベンチサージェリーにて重複尿管を1本化した。腎動静脈は右外腸骨動静脈に端側吻合し,血流再開後に初尿を確認した後に,1本化した尿管を膀胱に吻合した。術後免疫抑制は,バシリキシマブ,TAC,メチルプレドニゾロン(MP),MMFで行った。術後は抗体関連拒絶反応もなく,また尿管狭窄なども認めることなく良好に経過し,術後31日目に軽快退院された。比較的まれな重複尿管ドナーからの生体腎移植術を経験したので報告する。