2015 年 3 巻 2 号 p. 261-265
症例は62歳男性。原疾患は不明で透析歴は6年。長女をドナーとする生体腎移植後56日目にふらつきと著明な高血圧(204/94mmHg)を認め,当院外科に緊急入院した。移植腎動脈狭窄を疑い,血管造影を施行したが,起始部の軽度狭窄のみで確定診断には至らなかった。血圧コントロールは困難で,血清クレアチニン値(Cr)も1.3mg/dLから4.3mg/dLに上昇したため移植腎生検を施行した。拒絶反応の所見を認めず,高血圧の加療目的で当科に転科した。カプトプリル負荷試験陽性のため腎血管性高血圧と診断,再度行った血管造影では,移植腎動脈上極側の分枝に高度狭窄を認めた。経皮的腎動脈形成術(PTRA)は行わず,エナラプリルを1.25mg/日から徐々に増量した所,血圧は132/80mmHg,Crも1.17mg/dLまで低下した。1年半後も血圧,移植腎機能は安定している。分枝狭窄に対するPTRAでは健常部の閉塞などの合併症が報告されており,本症例では回避したが,エナラプリルの併用により良好な降圧と移植腎機能保持が達成できた。