2016 年 4 巻 1 号 p. 107-112
【研究目的】IgA腎症は移植後の再発率が高く,献腎移植よりも生体腎移植症例に多いとされるが,本邦での検討はほとんどなされていない。そこで今回われわれは長崎県の腎移植症例における移植腎へのIgAの糸球体沈着の有無,ならびに腎予後との関連を検討することとした。【方法】1978~2015年に長崎県で腎移植を施行し,フォローアップ生検時の蛍光抗体法による腎生検結果が確認可能な205例を対象とした。カルテ情報より,患者背景,IgA沈着の有無ならびに腎予後を調査した。【結果】末期腎不全の原疾患がIgA腎症もしくは紫斑病性腎炎の症例は,生体腎移植28例,献腎移植11例で,それぞれ15例と3例でIgA沈着を認めたが,2群間に有意差はなかった。IgA腎症の可能性がある慢性糸球体腎炎症例を加え(生体腎86例,献腎65例)で検討すると,生体腎移植32例,献腎移植14例で有意差を認めた。生体腎移植と献腎移植いずれでもIgA沈着の有無によって腎予後に差はなかった。【結論】生体腎移植症例では再発性のIgA沈着が有意に多かった。生体腎移植では血縁関係のドナーが多く,IgA沈着への遺伝的影響が示唆された。IgA沈着と腎予後の関係は不明であったが,IgA腎症の再発が長期的な腎予後を悪化させるとされ,原疾患がIgA腎症の場合は厳重な予後観察が必要である。