【緒言】腎移植においてドナー右腎採取の際に静脈が短くなり,大伏在静脈を介在して延伸する方法がある。今回,Y字型に形成した大伏在静脈を使用したので報告する。【症例】50歳男性。ドナー腎は右腎であった。右腎動脈は2本であり静脈は三叉状であった。動脈は2本を端側吻合で1本化した。静脈は三叉状の静脈のうち1本を残し外腸骨静脈に端側吻合した。血流再開後outflow blockとなったため再灌流した。静脈長が短いことに起因していると考え大伏在静脈グラフトで延伸したが再度outflow blockとなったため,大伏在静脈をY字型に形成し,2本の腎静脈に吻合した。その後移植腎の鬱血所見はなくなり,ドップラーエコーで確認したところ腎内の動脈血流の拡張期途絶はなかった。総阻血時間は4時間48分と長くなったが,尿の流出も速やかに認め,delayed graft functionも生じなかった。【結論】静脈形成において大伏在静脈を使用することは有用な方法である。今回はトラブル時の対処としてY字グラフトとして使用したが,計画的に使用することも可能と考える。