2016 年 4 巻 1 号 p. 59-65
近年の腎移植においては,免疫抑制剤の飛躍的な進歩によって成績の向上が認められているが,一方で,移植腎機能が良好でも,レシピエントの死亡による腎喪失が問題となってきている。移植後糖尿病(post-transplant diabetes mellitus:PTDM)は,近年の腎移植において生命予後,移植腎予後に大きな影響を及ぼしている,心血管疾患の最大危険因子である。PTDM発症を抑制するためには,術前評価でリスクを的確に判断し,術後には定期的なスクリーニングを行って,早期に適切な治療,処置を行うことが重要である。免疫抑制剤の使用が大きな発症原因となるが,拒絶を起こさずに対処することが重要である。糖尿病治療薬を使用する場合,現在は種類も多く,組み合わせも多彩だが,日常生活や肥満の是正が大前提となる。また,心血管疾患の予防から,重症低血糖は避けなければならない。できるだけ糖尿病専門スタッフと協力して,生活指導を含め,適切な治療を行うことが求められる。