免疫抑制療法を中心とした医療技術の進歩は腎移植後長期生着例の増加をもたらし,移植腎機能を維持したまま一般高齢者と同様に認知症の発症や,寝たきり状態により要介護状態となる事例もみられる。このような場合移植施設など急性期病院での入院の限界,療養病棟入院や施設入所における制限など移植患者を受け入れる環境が整備されているとは言いがたい。腎移植が一般医療となる以上,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムのなかで移植者も受け入れてかなければならない。しかし急性期医療を担う移植施設がこうした課題にも取り組むには限界があり,かかりつけ医との連携,病院の機能分化を考慮した転院調整,在宅医療や介護サービス,高齢者施設を含めた社会資源の活用,行政との協働が必要となってくる。そのためには「腎移植は特別でない」ことを移植側から社会に発信していく普及啓発活動も重要である。